相続税対策として一般的なのは生前贈与ですが、一度に多額の贈与をすると贈与を受けた人に贈与税がかかるので、基礎控除(非課税枠)の範囲内での贈与を考える必要があります。贈与税が非課税になる制度は3つあり、まずひとつめに「暦年贈与の基礎控除」があります。これは1月から12月までの1年間に贈与された金額が1人110万円までは非課税というもの。ただし贈与と認められるには条件があって、受贈者が贈与を受ける意思があることを明らかにすること、名義が受贈者のものになっているということ、贈与されたお金を受贈者が自由に使えること等があります。

親が子や、孫名義の銀行口座を作ってそこに入金しても、通帳や印鑑を親が保管していたのでは駄目です。こういうのは「名義預金」と呼ばれ、贈与者のものと判断されてしまいます。次に紹介するのは「相続時精算課税制度」。贈与者が60歳以上の父母で、受贈者が20歳以上の子、または孫に贈与する財産(種類に制限はなく、金銭でも不動産でも可)がこの制度を選択すると、累計2500万円までは非課税、2500万円を超えた部分は贈与税一律20%課税という仕組みです。

贈与者が亡くなったら、贈与財産と相続財産を合わせて相続税を計算します。贈与財産は贈与時の価格で計算されるので、将来値上がりしそうな不動産や株などを贈与しておくと、相続税を節税できます。ただし、この制度を利用する場合は暦年贈与との併用はできません。最後は、今話題を集めている「教育資金一括贈与非課税措置」。

直系尊属(主に祖父母)が孫に教育資金を一括で贈与する場合、1500万円までが非課税になるという制度です。2013年4月から2015年末までの期限付きですが、使い道が限定されているので無駄遣いされる心配がありません。暦年贈与との併用も可能です。ただ、受贈者が30歳になった時点で残額があると課税される場合がある点には注意が必要です。