相続税額は、被相続人の財産を相続税評価額で評価した額に対してかかるので、評価額を下げれば相続税額も下げられます。相続財産のうち、現金や預貯金は時価での評価になりますが、宅地は更地でも時価の80%程度の評価となります。現預金が1億円あったら、それだけで、評価額が20%下がるわけです。相続財産のなかに土地があれば、そこに賃貸アパートを建てると、借地権割合と借家権割合を考慮した「賃家建付地」の評価となり、更地より20%程度評価額が下がります。
建物も建築費よりはかなり低い評価額になり、建築費の分、相続財産そのものを減らすことにもつながります。建物の建築費を金融機関からの借り入れで賄えば、借入金額は相続財産からマイナスすることができます。相続が起こった時、建てた賃貸アパートを相続人が引き継ぐと、小規模宅地の貸付事業用宅地として200㎡まで50%の評価減になるというメリットもあります。このように、賃貸アパートを建てることは相続税対策として有効なので、これまでも数多く行われてきました。
以前は主に遊休地の活用が中心でしたが、最近は自宅を賃貸併用住宅に建て替えることを考える人も増えているようです。しかし、節税だけに目を奪われて収益性をおろそかにすると、裏目に出ることもあります。賃貸アパートは建てて終わりというものではありません。入居者を募集し、家賃を徴収し、建物の維持管理をしなければならず、それを専門業者に任せれば手数料がかかってしまいます。
火災保険料やメンテナンス費用などの支出も生じます。建ててはみたものの借り手がつかないということになると、見込み通りの賃貸収入が得られず、借入金の返済が進まなくなります。賃貸経営は空室リスクと隣り合わせ。だからこそ、しっかりした事業計画、資金計画が必要です。
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