遺産相続では、多くの場合残された家族や親戚など遺族が相続人となりますが、相続人が誰も居ないという場合には被相続人と特別な縁や関係にあった特別縁故者がその財産分与を受けることができます。これは民法958条の3に特別縁故者への相続財産分与の制度として規定が置かれており、遺産相続に於ける相続人が不存在であることが確定した場合、特別縁故者の請求により家庭裁判所がその相続財産の全部又は一部を分与するものです。そして、ここに相続人不存在の確定とは、文字通り相続人が存在しない場合の他相続人の遺産相続放棄により該当者が居ないという場合も含まれます。また特別縁故者とは、「被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者」と定められており、具体例としては、内縁の妻や事実上の養子、未認知の子また付添人、看護師などが挙げられます。

もっとも、実際に誰が特別縁故者であるかは裁判所の裁量により、裁判所が特別縁故者として認める場合でも、財産分与が相当であると認定されなければ分与は行われません。因みに、この相当性に関しては、縁故関係の濃淡や被相続人の遺志、特別縁故者となる者の年齢や性別、職業、遺産の種類や額など一切の事情を考慮して判断されます。この家庭裁判所への手続は、まず相続人の存否が明らかでない場合相続財産管理人により相続人捜索の広告がされますので、この広告期間満了後3ヵ月以内に請求する必要があります。