土地を購入したりマイホームを建てたりするなど、新たに不動産を取得した場合はその旨を登記することとなりますが、相続によって取得した場合も事情は同じです。元の所有者であった被相続人から、現所有者である相続人に名義を変更することで、名実ともにその物件は相続人のものとなります。この手続きを、相続登記といいます。この相続登記ですが、以前は義務化はされておらず、手続きを行うかどうかは自由裁量に任されていました。

実際、たとえば以前から親と同居していた実家を相続し、そのまま住み続けるようなケースであれば、登記しなくても特段の支障はありませんでした。登記はその物件を売ったり、物件を担保にしてお金を借りたりしようとする時に初めて必要となるものでした。しかしながら、名義変更されないままの不動産は、時にはトラブルの原因となることがあります。仮に実家を相続してもそこに誰も住まず、かといって売却もしないとなれば、その住宅は所有者不明の空き家として放置されることとなります。

こうした物件は、地元の自治体が防犯や防火上のリスクがあるとして持ち主に改善を求めたくても、相続登記がなされていなければ誰に連絡してよいのか分かりません。こうしたことから、国は法律を改正して相続登記の義務化を定めました。それによれば、相続によって不動産を取得した人は相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記を行わなければならないとされています。この義務化は、2024年4月から実施されます。