相続において難しいのは、どのように相続財産を分割するかということです。預貯金や株式のような金融商品の場合には、貨幣価値に換算して相続権者に分割することができますから、簡単かもしれません。しかし、土地・建物といった不動産の場合には、それらを売却しない方針だとすれば、綺麗に分割することはできません。ですから、誰か一人が不動産を相続するということとなり、不公平が生じてしまいます。

それでは、それらの不動産の貨幣価値を算出して、その金額をもとに、他の権利者にお金を支払う事にすれば良いのかもしれません。この場合、その不動産を引き継いだ人が、金融資産も豊富なお金持ちであるならば、十分に可能な方策であると言えます。しかし、十分な金融資産がない人ならば、このようなお金を用意することができません。それどころか、現金が足りなければ、税金を国に支払う事もできなくなってしまいます。

特に、都心に住んでいる人は、不動産価格が高くなっていますので、今年から基礎控除額が引き下がって、税率が上昇したということも影響して、特にお金持ちという訳でも無いのに、多額の税金を支払わなければならない羽目になるケースが多くなると予想されます。しかし、同じ不動産でも、タワー・マンションなどは、逆に相続税の節税対策として利用されています。これは、タワー・マンションの場合、一戸あたりの不動産面積が非常に小さくなるので、税金が非常に安くて済むようになるからなのです。