遺産相続が起こった場合にまず確認すべきことは、被相続人が生前に遺言書を書いていたかどうかでしょう。遺言書があった場合、その内容が優先されることになるため、遺言書に書かれている指定分割方法に従って遺産分割を行う必要があります。遺言書がなかった場合は、相続人の合意によって遺産分割を行うことになりますが、全員の合意がないといけないことになっていますので、もめる場合もあるでしょう。もめてしまった場合は、家庭裁判所に調停を頼むか、それでもまとまらない場合はいよいよ審判をすることになるはずです。

そう考えると、遺産相続において遺言書が果たす役割は非常に重要だといえます。遺産相続に関する争いを避けようと思ったら遺言書を書いておくことが有効な手段だと理解できるでしょう。但し、遺言書というのは民法で法定されていますので、もし規定にそぐわない形式等によって書かれた場合は無効になってしまう点に十分注意する必要があります。例えば、自筆証書遺言の場合、日付を記入することや、パソコン等での作成ではなく自書すること等が要件になっています。

そのため、有効な遺言書を確実に残したい場合は、法律のプロに作成してもらうことになる公正証書遺言がいいのではないでしょうか。公証役場に行って、公証人に向かって口述し、公証人が文章を作成してくれます。証人が二人以上必要であったり、有料である等のデメリットはありますが、争いを避けるコストと考えれば許容できるでしょう。